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Romance夢紀行

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Archangel's Consort/ ナリーニ・シン あらすじ

※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
2012年12月~翌年2月末に読了。辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね

飛ぶことには慣れ、以前よりも強くなった実感をもっているエレナ。でもまだ上手に着陸できません。人間だったころにはマンハッタンの自分の部屋からラファエルの塔の空中の入り口から出入りする天使の姿を憧れをもって見上げていたのに、いまはその場にいる不思議。マンハッタンに戻ってきて、まず自分の部屋に戻ってみると、ラファエルの血や散乱したガラスの気配すらなく、整然と整えられ、がらんとしていました。自分のお気に入りのものを集めたお城のようなものだったためショックを受けるエレナ。そこにラファエルがやってきて「見せたいものがある」と連れ出されます。ラファエルの屋敷に着くと、そこには部屋から持ち出された何もかもが移されていました。父ジェフリーから家を荷物ごと追い出され道に投げ出された記憶もよみがえり、ラファエルの気遣いに静かに感激するエレナでした。

夜、ラファエルが寝室から外を眺めています。このところの気象異常は、身体の毒が消えるまで眠っていると伝えられている大天使が起きるためではないか、と。眠っていると伝えられている大天使は何人かいるものの、いまは消息不明で狂気に陥ってしまった自分の母であり大天使でもあるキャリエーンではないかと心配している様子です。

朝起きてみると、ラファエルは不在。呼ばれていった場所は、エレナの半分血のつながった妹たちが通う小学校でした。駆けつけてみると、そこには妹二人がいて、どうやら死体の第一発見者だったよう。エレナとはほぼ没交渉のため上の妹アメジストは近づいてきませんが、下の妹イヴァンジェリンはエレナによってきて事情を説明します。エレナはヴァンパイアになったと伝えられていたので、あっという間に新顔の天使がニュースになりそうな気配です。

建物の中へ進んでいくと血まみれの部屋が。 被害者は少女で、遺体は外の池の中で発見されます。遺体はジェイソンが見守っていました。ブラッドラストに陥ったヴァンパイアの仕業かと思いきや、何者かに「ラファエルが死んだ」と吹き込まれて、暗い欲望にひたることにした正気のヴァンパイアが犯人でした。ラファエルは静かに見えて激怒している様子。即座に犯人を処刑するラファエル。彼は以前クワイエットに陥ったような危うさというか危険さを発散していてエレナは不安を覚えます。

市内のモルグにディミトリと出かけ、遺体と体面します。その少女は下の妹の親友で、たまたまおなかが痛いということで、妹の部屋で休んでいたところを襲われたのではないか、私のせいでとエレナはショックを受けます。昏睡から覚醒したのちにも父ジェフリーには連絡をとらないままでしたが、エレナの関係者ということで狙われる妹たちに警戒してもらうために、モルグから父に電話します。相変わらず冷たい対応のうえに話があるから翌朝訪ねてくるように、と命令されて反発は感じるものの、結局行くことに。残留している血液の量から被害者はもう一人いたのではと思われましたが、もう一人も池の近くで発見されたようです。

ラファエルのスパイマスター、ジェイソンに頼んで空を飛んでいても大きな的にならない方法を教えてもらっていました。


少女殺しをすることで自分に逆らってみせた配下への厳罰でラファエルみせた冷酷さは、エレナによってなだめられましたが、大天使の狂気、劣化の兆候ではとラファエルは考え悩んでいる様子です。少女二人を殺した犯人への罰として、10年間地中の箱のなかに埋める(殺さず、狂わさず)ということをラファエルが決めてエレナも納得しますが、自分たちの家の庭に埋められるということがわかると「自分には耐えられないからほかの方法にして、このことで私たち二人の関係を悪くする必要はない」と説得して、ディミトリに適切な罰を決めさせることに。

事件の調査も進められ、ヴァンパイアの住居からは黒い蘭がみつかりますが、これはラファエルの母キャリエーンの印でもあり、キャリエーン復活かとラファエルたちは心配しています。一方で残存する匂いからエレナは大天使ネハの関与を疑い、ラファエルはネハに連絡を取ります。天使の殺人という罪を犯したにせよ、自分の娘を処刑された恨みをもつネハは、目には目をということで、ラファエルの大切なものを奪いたいと願っているようです。

また大災害などは眠りについている古代の大天使の目覚めの兆候として知られ、ラファエルは狂気に陥った母キャリエーンが目覚めるのではないかと考えていて、突然の自分の変化や配下のヴァンパイアをそそのかしたやり方、蘭の置き土産などからキャリエーンの関与を疑いますが、裏切った配下が何者かに殺された現場をエレナが捜査して、ネハの関与が濃厚になり、ラファエルが自分の領土でのイタズラ、干渉をやめるようにと通告します。

眠りについている大天使を殺害することは最大の禁忌ですが、ラファエルは7人衆のうちのアオドハンとナジールにキャリエーンの居場所を捜索させ、どうやらアジア地域ではないかと報告があがってきていました。ラファエル自身が赴きたい気持ちがあるものの、ウラムの事件などでラファエルはけがの回復のためニューヨークを留守にしていた期間が長く、領土を不安定にしないためにいまは動けません。

絶縁している父親に自宅へ呼び出されて行ってみると、半分血のつながった妹のひとりイヴにハンターの素質があると伝えられ、ショックをうけます。つまりそれはハンターの資質が単純に血縁が複雑で不明な母からの遺伝かと考えていたのに、ハンターを毛嫌いする父からのものだったということ、またイヴのハンターの資質からも目をそむけようとするジェフリーの姿を見て、ジェフリーは娘のエレナがハンターの素質があることに気づいていたのに自分のときも現実を直視せず、エレナ自身の存在が殺人ヴァンパイアを呼び寄せてしまったというだけでなく、父が手をこまねいていたために凄惨な事件が起こってしまったのではと気が付きます。

お飾りのようにも感じていた父の後妻が、子供のために根性をみせ、エレナにアドバイスを求め、エレナはギルドの学校に行かせることを勧めます。

むしゃくしゃした気分で帰宅したエレナですが、ラファエルとのスパーリングでしごかれ、汗を流して憂さをはらします。リージャンの宮廷での戦いを念頭において急いで鍛えてくれたガレンには教わらなかったことをラファエルとの練習で吸収しています。ラファエルは急速に進化しているエレナを内心誇らしく感じ、時間さえかければ一流の戦士になるだろうと予感しています。

エレナの屈託した気分を察知していたラファエルは水を向けると、エレナは倉庫に母親の遺品と自分の昔のおもちゃなどが保管されていたこと、早世してしまった母が慕わしく、一方で自分を捨てたという気持ちで憎く感じることもあると告白します。ラファエルもまた母に対して複雑な気持ちを抱いていて、エレナにそう伝えます。

ボストンでブラッドラストのヴァンパイアにより死人がでているという連絡がギルドからあり、各地でブラッドラストが発生して人手がまったく足りないため、同僚ランサムのバックアップとしてエレナは駆け付けることになります。羽で飛んでいくにはエレナには距離がありすぎるということでラファエルがヘリを用意してくれ、ヴェノムを操縦士としてつけてくれることに。エレナは不満ですが、しぶしぶ受け入れます。

ボストンにヘリで到着すると、ランサムとエレナ、そしてエレナを守るヴェノムはヴァンパイアたちがいるという倉庫に乗り込みます。通常ブラッドラストに陥ると、最初は思考力を持たないで血に耽ってしまいますが、倉庫にいる連中は徒党を組むという思考力を見せていて、移動するスピードもあったため、刻々と人間の被害も拡大していっていたようです。地面からは飛び立てないエレナは、投石器の要領で、ヴェノムの腕力で空へ振り上げてもらい、倉庫の上へ、またさらに中へと侵入し、ヴァンパイアたちを処分していきます。死にかけのヴァンパイアが「彼女は覚醒した」と言い残します。日頃はGQモデル張りのヴェノムですが、お気に入りのスーツはずたずた、ただ確かな腕前を披露していました。

警察を待っている間、エレナは初めて敵意のない状態のヴェノムと彼のネハによる転生にまつわるちょっとした会話を楽しみました。ランサムはバイクで帰路につき、エレナはヴェノムとヘリに乗り込むところで大きな地震に見舞われます。エレナのいたほんの数インチ先から桟橋までが大きく陥没していますがヴェノムに足首をつかまれ、引き揚げてもらいます。いったん地震が収まると、バイクで移動しようとしていたランサムのもとへ駆けつけます。バイクから投げ出されたランサムは幸い気絶していただけだったので、バイクは部下にまかせ、彼をヘリに乗せて病院へ連れていきます。限定的な大地震や死んだヴァンパイアの言葉から、エレナ自身はキャリエーンの覚醒を確信しますが、まずはラファエルに伝えなくてはとわかった事実を胸に秘めています。

ランサムの図書館司書の彼女ニーリーが来るまではとエレナは病室を影で見守っていました。実際彼女が現れてみると、どんな人物を期待していたのか、ちょっとした驚きでした。小柄で保守的な服装、大きな濃いチョコレート色の瞳を心配で曇らせて駆け付けてきましたが、ランサムがだれかの気遣いをはねのけず、受け入れたのをエレナが見たのは生まれて初めてでした。彼らをそっとしておくことにしてその場をはなれ、帰宅しました。

イリウムの母で、ラファエルがキャリエーンに重傷を負わされた後に看病してくれ、大切に思う存在でもあるハミングバードがエレナに会いたいと言っているので、ハンターの仕事を休めとラファエルが言ってきました。ラファエルにとって大切な存在だと感じる女性と会うと知ってエレナはやや身構えていますが了承します。

妹イヴリンの付き添いでギルドアカデミーを訪れたエレナ。イヴリンはまだ幼すぎるので、普通の学校と並行して訓練できる分野から始めるようです。車いすに乗っているヴィヴィクが居合わせ、旧交を温めます。

ギルドディレクターで親友のサラから連絡がはいり、被害者が一人の単純な事件のように思える現場に急行してくれないかとのこと。ランサムは万全でなく、アシュウィニは長く因縁のあるヴァンパイアとまたもやなにかもめたらしく地下で潜伏休暇中。手持ちのハンターを駆りだしたくないという事情をきいて、エレナも引き受けます。

アカデミーから現場に急行すると、なじみのサンチャゴ刑事が現場捜査を指揮していました。挨拶を交わした後、エレナが現場を改めると、被害者は子供といってもいい少女だったため、被害者とダブる過去の出来事をできるだけ考えないようにして、現在の捜査から気持ちを切り離そうとしていました。現場にはまるでヴァンパイアスポットのようにたくさんのヴァンパイアの香りが交差していて、刑事によればどうやら地元のヴァンパイアの発展場のようです。

残された香りをより分けると黒い蘭の香りがして、さらに傷を詳しく確認すると、ヴァンパイアによる噛み傷ではなく、うっすらとした剣のようなものによる切り傷が無数につけられ、拷問死のような状態だったということが分かります。刑事にはこれはギルドの仕事だからと伝え、ラファエルを「あなたが見る必要がある現場があるの」と電話で呼び出します。

ラファエルは屋敷内に彼女の荷物を運びこんだだけでなく、敷地内にエレナのベコニア用の小さな温室を作ってくれました。彼の庭師は敷地内の樹木の管理を担当しますが、温室内の植物はエレナの好きにするようにと言ってくれ、その中から弱っているものなどを選んで、屋敷内3階の広々とした居間に運びました。

リフュージから戻って数日間は、捜査をしたり、ラファエルや他の天使とスパーリングしたりと行きつく暇もない忙しさでしたが、少し時間ができたので、居間が気にいったエレナは自分の部屋としていろいろなお気に入り品を運び込み、飾りつけします。「巣作りしているのか?」とからかってきたラファエルに、喧嘩したときに扉を叩きつけて、閉じこもれる自分の城にしたいと頼んで、認めてもらいます。また過去の狩りの思い出の品の鉱石パイライトをラファエルにプレゼントすると、ラファエルは感激していました。

エレナがヴェノムとスパーリングしていると、イリウムがやってきて、今度はエレナが審判となってイリウムとヴェノムがスパーリング。ハンターとして完全復帰するために二人の戦いぶりを観察するエレナ。ヴェノムが勝っていました。

中国の大天使であるリージャンが、突然マンハッタンに現れます。天変地異やその他の兆候でキャリエーンの覚醒の気配を感じ取って、ラファエルにキャリエーンが目覚める前に殺害するようにと進言しにきたのです。古代からの一番古い禁忌に触れる事柄で、キャリエーンが自分の母であるということ以外にも、その他の眠る天使にも影響することなのでできないと断ります。

夕食に約束通りハミングバードが現れました。イリウムとラファエルのことを私の子たちと呼んで、ラファエルも他の天使には見せない親しみを彼女にみせていました。エレナは彼女からラファエルやイリウムのしでかしたイタズラや思い出などを聞かせてもらい楽しい時間を過ごしましたが、イリウムが母親にぎこちない態度を見せているのが気になっています。エレナの知らない秘密があるようです。

姉妹のベスの家を訪れると、「どうして目覚めて一番に私のところに顔をみせてくれなかったの」と軽くなじられますが、温かく迎えてもらいます。ただ彼女にどこか違和感を感じてベスに私がなんとかしてあげるから、悩みを話してと水を向けると、ヴァンパイアになりたいという申請を却下されてしまった、夫と永遠に生きるのが私の望みだったのに。エリーあなたの力でなんとかしてちょうだいと頼まれます。ラファエルからベスにはヴァンパイアになる適性がないと聞いていたエレナは、天使の秘密を話さずに、ただできないというしかなく、ベスには拒絶され、永遠に生きる自分はいつかベスのお墓の前に立つことになるのだと自分の不死性を現実のものにかんじてショックを受けます。

またもやエレナはサンチャゴ刑事の要請で捜査に駆りだされます。今度は橋の下にヴァンパイアが数人吊るされているということで、エレナは70歳くらいの若いヴァンパイアたちだと感じ取ります。近づくにも簡単に近づける場所ではなく、ようやくのことで匂いの痕跡をたどろうと遺体に身体を近づけると、「生きてる!!!」救急隊を要請しますが、まずは身体を地面に降ろさなくてはならないため周囲を見回すと・・・イリウムが何か手助けしましょうかと現れました。エレナが短剣を渡すと、吊るされているロープを切って、海面に身体が落ちる前に追いついて、抱えて地面まで運んでくれました。

救急隊が現れるまでのあいだ、損傷の具合を確認すると、どこか奇妙なことに気付きます。キャリエーンの香りだろう黒い蘭のにおいがかすかにするのですが、犯人というほどの強い残り香ではないのです。もどかしさを感じながら、傷をみていて、過去にラファエルがミカエラのボディガードに罰を与えるために心臓を抜き取ったときのことを思い出しました。ただしこの犯人はラファエルほど力がなかったため、肋骨に阻まれて、心臓は無事だったのです。エレナはリフュージで、強力な天使であれば、自傷行為を心理強制できるということを聞いたことがあり、ひょっとしてこの傷も自分でつけされられたものではと思い至り、またそんな力をふるったのはキャリエーンだろうと考えています。

帰宅すると、ラファエルがその罰を知るのは多くはないといって母の思い出を話してくれます。リージャンのようでも、ネハとも違った大天使で、畏怖されるというよりは領民から愛される、大天使の見本となるような人物だったと。

ラファエルによれば、彼女はamanatという今は伝説でしかない都市を治めていて、領民に慕われ、彼女も大切にしていた、と。またラファエル自身、ここの島で母親や領民に温かく見守られながら育ったようです。ところがあるときヴァンパイアが女性を連れ去り凌辱して3日後に見つかったことがあり、この女性にとっての3日間は30年にも思えただろうと言ったそうです。そのためヴァンパイアにあたらえられた罰は、30年間自分自身で首を吊り、近くにくる鳥に身をついばまれ生きること。被害者は一生怯えて暮らすことになるだろうけれど、不死の身にとって3日間は記憶に残るほどのことではないが、罰によって犯人も同じような思いをすることになっただろうと。

ラファエルとエレナが寝室で休んでいると、妙な気配を感じて目が覚めます。普段は心話がスムーズにかわせるようになっているのに、ラファエルに呼びかけても反応しません。ベッドの下に隠した短剣を寝室の壁際の幻影に投げつけると、ラファエルは目覚め、幻影は消えていました。

激怒したラファエルは、寝室のバルコニーからあっという間に飛び立って消えてしまいますが、エレナは数分で身支度を整え、ラファエルからガードするようにと言いつけられたディミトリの近づく気配を尻目にバルコニーから木に飛び移ってなんとか飛び立ち、彼を追いかけます。

自分をおいて話し合いもせず出かけてしまったこと、自分の身を守らせようとする保護本能に激怒したエレナは、戻るようにというラファエルの命令には従わず、喧嘩が始まります。

結局、エレナが危ないと思ったときには、どんなときにもラファエルを呼ぶようにということで決着し、二人のエンジェルダンスが始まります。

恐怖すれすれのスリルと熱烈な愛情表現にしっかりとついてくるエレナ。天使相手にでも試せなかった自分の激しさを、変化したばかりのエレナに受け止めてもらえるとはとラファエルが感激していました。

ラファエルの夢にキャリエーンが訪れます。ラファエルがキャリエーンを殺そうとして大けがを負わされたあの場所に似ている緑あふれた場所です。キャリエーンはラファエルが並ぶもののない大天使として成長したことを母らしく喜びますが、大天使2人の息子であるラファエルに彼女はふさわしくない、弱い人間の心をもつ不死の存在には、と。

大天使のひとりファヴァシから連絡があり、イライジャがおかしいという噂があるので、自分より優れたスパイ網をもつラファエルはなにか詳しい情報がないかという問い合わせでした。配偶者のハンナに暴力を奮っているのかというとそうではないようですが、わかったことがあれば知らせるということで、見えないようにその場に控えていたドミトリに現状を確認すると、イライジャはすでにマンハッタンに向かっているとのこと。

ドミトリは大天使になる前のファヴァシの恋人だったようです。ファヴァシのところに行きたいとドミトリに言われたときは、まだセブンもおらず、配下が十分ではなかったので1年引き止めたところ、1年後に自分の元を離れたいかと聞いた時にはいいえ、という返事だったようです。二人に何があったのか詳しいことはラファエルも追及していないようです。

セブンたちの調査により、キャリエーンは鹿児島に眠っているのではないかということがわかってきました。ラファエルは配下のセブンのうちリフュージをガレンとアオドハンに、マンハッタンタワーはドミトリとヴェノムにまかせ、そしてイリウムとナジール、ジェイソンは鹿児島に同行するか現地でのサポートを命じます。ドミトリには、自分になにかあれば、エレナを守るようにと言いつけ、ドミトリは固く誓います。

ラファエルはエレナに安全な場所にいてほしいと願いますが、本人はキャリエーンを殺さなければならないかもしれないという心理的な心配と、命に係わるかもしれない戦いでそばにいられないのは耐えられない、閉じ込められても抜け出すと言い張りついていくことになります。

出発前にイヴリンに会っておかないとと考えたエレナですが、ラファエルが自分を傷つけようとするジェフリーに危害を加えないよう釘をさし、嵐のなかジェフリーの家まで送ってもらいます。グウェンドリンに迎えてもらったあと、イヴリンとおしゃべりし、自分の身代わりに亡くなってしまった親友のベッツィがいなくなってしまって寂しい、彼女が殺されることになってしまい申し訳ないという気持ちを打ち明けられます。優しく話を聞いてあげるエレナ。両親がエレナと話してはいけないと言われていたから、いじわるな人だと思ったけど、とっても優しい人なのね。もしも自分のうちを持てたら、遊びに来ていいよとイヴリンに言ってもらい、エレナは感激で胸が詰まってしまいます。その後ジェフリーと顔を合わせる勇気をかき集め、書斎に向かいます。

庭に面したフレンチドアのそばから雨を眺めているジェフリー。マルグリットは雨が好きだったわと口にすると思いがけず、「彼女は雨に降られていれば幸せだったのに、嵐では生き抜けなかった」とジェフリーが返事をします。彼女はあなたのように強くなかったとエレナが言うと、自分の子供中で自分に一番似ているのがお前だとジェフリーに言われてショックを受けます。またこの家ではお前は歓迎されないと宣言され、振り返らず家を出ていき、ラファエルと帰宅し、現地へと旅立ちます。

鹿児島についたラファエルとエレナ、イリウム。翼を使ってキャリエーンの居場所の調査をはじめますが、イリウムがすきをつかてさらわれてしまいます。

おそらくキャリエーンに浚われたものとして調査を続けますが、そこに大天使リージャンが現れます。リージャンは完全に力が戻らないうちにキャリエーンを殺すべきだと主張しますが、エレナは自分が母親に対して複雑な気持ちを抱えつつも、ひと目会えるならどんなことでもしたいと思えるので、ラファエルもそれは同じなのではないか。長い眠りのあとで、もしかしたら狂気が緩和されているかもしれないという希望があるのに、話もせずに殺してしまうのはラファエルにとってよくないと感じています。

リージャンと別れて、ひきつづき探すことにしますが、さらわれたイリウムが心話で彼らを導いてくれ、さらに飛び続けると奇妙な村にたどりつきます。どうやら伝説となったamanatの村のようです。皆殺しにされたという村人でしたが、実はキャリエーンによって眠りにつかされていたようです。眠っている人間たちを発見しました。

村にある神社で探索を続けると隠し扉の奥の地下でイリウムを発見します。ラファエルが隠し扉を抑えるあいだ、エレナが地下へ降りていきます。かなり傷つけられたイリウムは一人で立つことができず、意識も消えがちですが、なんとかラファエルのいるところまでエレナが連れて行って引き渡すと、一瞬でドアがしまってしまい、今度は暗闇の地下室にエレナが取り残され、ラファエルとの心話も遮断されてしまいます。エレナは地下室にいた生き物に毒液を吹き付けられ、かなり痛めつけられますが、最後にはラファエルが見つけて救出してくれます。

 「ラファエル」とキャリエーンから心話で呼びかけられ彼女の覚醒が明らかになりました。

空気にのって近づてきたキャリエーンの香りは、少女たちや橋の下のヴァンパイアなどに残された香りのほかにひまわりの香りが加わっていることにエレナが気付きます。そしてあれこれ考えあわせた結果、キャリエーンの狂気の表出と思われていた殺人事件の数々は、リージャンによって巧妙に裏で糸を引かれていた事件だったのではと気づきます。

ラファエルが面と向かってリージャンに事件のことを問いただすと、本人が認め、攻撃してきます。リージャンはキャリエーンが眠りから蘇った場合、選ばれた大天使のなかで一番強力なメンバーが自分ではなくなることを嫌って排除したがっていたようです。

リージャンの攻撃で、ラファエルが倒れると、キャリエーンがリージャンに立ち向かいます。ただ目覚めたばかりのキャリエーンはリージャンに対しては劣勢のようです。

ラファエルの見事な白い翼が、全身が、リージャンの攻撃によって黒く染まっていきます。エレナによって少しだけ人間になったラファエル。他者への癒しの力は以前より増加していますが、攻撃されると回復には時間がかかるようになってしまいました。

ラファエルはそばにいたエレナに安全な場所に移ってほしかったけれど、そばを離れようとしないのはわかっていました。「私は死ぬ」とラファエルは言いますが、エレナは心臓が止まるような気持ちがしますが諦めません。リージャンの毒が回ったようにみえるラファエルの白かった翼の一部をエレナがかみ切ると、そこから黒いなにかが噴き出し、元の色がよみがえりました。

ラファエルの体内では毒が周り、黒いものに埋め尽くされていくようなかんじでしたが、数千年生き抜いてきた戦士の魂はあきらめることを知らず、私をおいていくなんて許さないと宣言するエレナに応えようと彼女の翼を手繰り寄せます。遺伝子レベルからの核爆発のような変化が起こり、エレナが目の前に見えました。

エレナはamanatの村人の避難を助けに行き、ラファエルはリージャンへ反撃を開始します。身のうちから湧き出る新しい力を天使の炎のように手に集め、放ちます。通常彼の力は青く彩られているか閃光を放ちますが、この力は漆黒から夜明け色に縁どられたホワイトゴールド色で、これをぶつけられたリージャンは血を流しました。

再びラファエルが攻撃すると、身の内の炎は減じていて、最初ほどの炎の勢いはありませんでしたが、リージャンは形勢不利を悟って逃げていきました。

キャリエーンは「私の息子はあなたを伴侶と呼んだけれど」とエレナに目を向けます。イリウムが守りの態勢にはいったところでラファエルがその場を引き取ります。キャリエーンは天使たちの政治的な駆け引きは興味がなく、amanatは私の領土とさせてもらうと宣言し、去っていきます。

キャリエーンを滅ぼすのなら目覚めたばかりのいまがチャンスですが、他の大天使がするようなことしかしておらず、狂気を示すような行動はとっていないとエレナがラファエルをとどめます。セブンのひとり、ナジールをキャリエーンの監視役に残し、領地へ帰還することにします。

ラファエルが瀕死の状態のときにエレナの呼びかけで彼の中に新しく芽生えた力は、リージャンの力を中和する力のようで、彼女と対決することがあるなら、今後の強力な武器になりそうです。

エピローグ

大天使たちが会議に集まっています。リージャンも骨と皮ばかりの状態で顔を出しています。キャリエーンのことはラファエルが責任をもって監視し、なにかあれば彼が立ち向かうということで意見がまとまっていました。

ラファエルが帰宅するとエレナに外出に誘われます。出かけた先は倉庫で、ジェフリーが事件後にマルグリートの遺品やエレナの身の回りの品をまとめて預けていた場所でした。自分がお気に入りでどこに行くにも持って歩いたブランケット、ベッドにかかっていた母手製のキルト・・・。床に座り込んだ大天使に見守られ、涙を流しながら楽しい思い出を話し、ラファエルもまた他の人物には話したことのない過去の思い出を語ります。

キルトに触れたラファエルは、この作品からは血の力を感じると言い出します。エレナが天使になる前には人間だったことは間違いないが、もしかするとマルグリートの血筋にはヴァンパイアがいたのかもしれないと。200歳以下のヴァンパイアは子を成せるが、その子供は人間だからと。二人だけの秘密が増えたようです。また将来自分たちに子供ができたらどう思うかとラファエルに聞かれて、エレナは自信がないようでしたが、ラファエルも支えてくれるし、親友サラの娘であるゾーイで練習させてもらおうと。二人には希望が見えているようです。

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